
目次
性病(性感染症)の症状
最近では性行為に対する価値観が変化したこともあって、若い世代でもこうした性病・性感染症にかかる人が増えているんだ。
性行為のほかにアナルセックスやオーラルセックス、素股など感染者の体液や性器に接触する可能性のある行為は全て感染経路となるんだよ。
性感染症の症状は感染部位や性別によっても異なる
症状はかゆみや炎症、発疹や痛みなど比較的軽いかもしれないけど、放置しておくと生殖機能にまで感染が広がり、男性であっても女性であっても不妊の原因になることがあるんだよ。
特に女性の場合は不妊につながるなど心身ともに大きなダメージを受けることがあるので軽く見てはだめだよ。
男女共通「喉(のど)の症状」
感染すると喉の腫れや痛みが出るけど、気が付かないことの方が多いね。
症状が軽くて気が付かないので感染を広げてしまうケースが多いんだ。

参照記事:喉が痛い、痰が出る、は性病の症状なのか?
男性に多い症状
症状は男性器の痛みや違和感が多く、これは日本で報告数が一番多い性器クラミジア、二番目の淋菌感染症の症状なんだよ。

男性の症状 | ||
---|---|---|
部位 | 症状 | 可能性のある病気 |
喉 | 喉の腫れや痛み | のどクラミジア、のど淋病 |
咳や淡が出る | のどクラミジア、のど淋病 | |
性器周辺 | 排尿時に痛みがあり、尿道から膿が出る | クラミジア、淋病、トリコモナス |
尿道にかゆみなどの不快感がある | クラミジア、淋病、トリコモナス | |
排尿時の痛み | クラミジア、淋病、尿道炎 | |
尿が白く濁る | クラミジア、淋病、尿道炎 | |
透明な膿が出る | クラミジア、尿道炎 | |
黄色い膿が出る | トリコモナス、淋病、カンジダ | |
ふともも 付け根 | リンパ節の腫れ | 梅毒、ヘルペス |
亀頭部 | 赤くはれる | カンジダ |
陰茎 | 小豆くらいのしこり | 梅毒 |
小さな痛みのある発疹 | 尖圭コンジローマ | |
水疱ができる | ヘルペス | |
睾丸 | 腫れる | クラミジア、淋病 |
痛み | クラミジア、淋病 | |
性器、肛門、唇 | 痛みをともなわないしこりや腫れがある | 梅毒 |
全身 | 全身に赤茶色のできものや発疹ができる | 梅毒 |
吐き気や食欲不振、全身倦怠感、発熱などが続く | B型肝炎、C型肝炎 | |
発熱、咽頭炎、下痢、リンパ節の腫れ、倦怠感などの症状が1ヶ月以上続く | エイズ |
参照記事:男性に多い性病の症状とは?
女性に多い症状
症状が出ないので、感染に気づかずに病気を放置させがちで、感染が生殖器に感染すると不妊の原因となるので特に注意が必要よ。

女性の症状 | ||
---|---|---|
部位 | 症状 | 可能性のある病気 |
喉 | 喉の腫れや痛み | のどクラミジア、のど淋病 |
咳や淡が出る | のどクラミジア、のど淋病 | |
性器周辺 | 性器周辺にかゆみや痛みを感じる | トリコモナス、カンジダ、性器ヘルペス |
強い痛みを感じ、排尿が困難である | 淋病、性器ヘルペス | |
ふともも 付け根 | リンパ節の腫れ | 梅毒、ヘルペス |
おりもの | おりものが多く、下腹部が痛む | 淋病、クラミジア |
酒粕状、カッテージチーズ状のおりものが出る | カンジダ | |
あわ状で悪臭の強いおりものが出る | トリコモナス | |
痛み | クラミジア、淋病 | |
性器、肛門、唇 | 痛みをともなわないしこりや腫れがある | 梅毒 |
全身 | 全身に赤茶色のできものや発疹ができる | 梅毒 |
吐き気や食欲不振、全身倦怠感、発熱などが続く | B型肝炎、C型肝炎 | |
発熱、咽頭炎、下痢、リンパ節の腫れ、倦怠感などの症状が1ヶ月以上続く | エイズ |
参照記事:女性に多い性病の症状とは?
参照記事:おりものの色が白い・黄白色・黄色・緑色の時に考えられる疾患
参照記事:おりものの色が茶褐色・赤・黒・ピンク色の時に考えられる疾患
参照記事:おりものの量が多い時は病気なのか?
参照記事:デリケートゾーン「女性器(あそこ・まんこ・おまた)の痛み」がある時に考えられる疾患
参照記事:デリケートゾーン「女性器(あそこ・まんこ・おまた)」のかゆみとかぶれの原因(性病や肌のトラブル)と対策
参照記事:デリケートゾーン「女性器(あそこ・まんこ・おまた)」が臭い時の原因と対策
参照記事:デリケートゾーン・女性器(あそこ・まんこ)や周辺にできもの(イボやぶつぶつ)・しこり・潰瘍・皮膚のただれができた
男女共通(身体症状)

一定期間過ぎると症状が治まり、無症候期や潜伏期間に入るものがあるので注意が必要じゃ。
性感染症にはどんな病気があるの?
1)比較的症状が軽いもの
クラミジア感染症の症状
女性の症状
女性は症状が無いことが多く、感染後放置しておくと、感染が広がり子宮卵管炎、子宮頸管炎になる可能性があって
子宮頸管炎が進行して骨盤腹膜炎を発症すると卵管がつまってしまい、不妊になるということがわかっているのよ。
- おりものが増える
- 下腹部に痛みを感じたりや性交時に痛みを感じる
- 不正出血がある
- 自覚症状を感じない
男性の症状
放っておくと尿道炎や副睾丸炎になり患部が腫れるなど症状が悪化するんだよ。
- 排尿時に灼熱感や痛みを感じる
- 尿道にかゆみ、不快感を感じる
- 睾丸が腫れる
- 尿道からの最初は薄く次第に濃いクリーム状の膿が生じる
- 軽い発熱、痛みがある
- オーラルセックスやキスで、経口感染する可能性があります。
淋菌感染症の症状
女性の症状
症状だ出ても淋病特有の症状ではないので気が付かない人も多いのよ。
- 排尿時の痛みを感じる
- 頻尿になり、残尿感がある
- 黄緑色や悪臭を伴うおりものが増加する
- 下腹部の痛み、発熱がある
- 自覚症状を感じない
男性の症状
放置すれば尿道炎や副睾丸炎を発症し重篤化するよ。
- 排尿時の激しい痛みがある
- 尿道のかゆみ、熱っぽさ、不快感がある
- 尿道からの粘り気のある黄色い膿が生じる
- 頻尿になる
- 精巣上体にはれがある
- ペニスの開口部が赤く腫れる
- 進行すると頻尿、排尿困難、排尿の終わりに出血がある
- オーラルセックスやキスで、口に感染する可能性があります。
参照記事:淋病(淋菌感染症)「感染力の強い病原体の細菌が性行為により性器、尿道、喉感染し、10代後半から30代に感染者が多い。」
トリコモナス症の症状
女性の症状
症状が出る人は、泡状の悪臭のあるおりものが増えたり膣のかゆみや違和感が出るの。
- 膣や外陰部に強いかゆみを感じる
- 白か黄色の泡状で、悪臭を伴うおりものが増加する
- 排尿時と性交時に痛みを感じる
- 悪化することで外陰部が赤くただれる
- 無症状の場合もある
男性の症状
男性は症状が出ないことの方が多いね。
- 尿道から膿が出る
- 排尿の痛み、不快感を感じる
- 無症状で自覚しない事が多い
参照記事:トリコモナス「原虫が性器内に入り込み炎症をおこし、性行為による感染以外に下着、タオル、便器、浴槽の共有での感染もある。」
カンジダ症の症状
女性の症状
- 膣や外陰部のかゆみ、痛みがある
- ヨーグルト状のおりものの増加する
- 症状が進むと膣からあふれる量のおりものが出る
- 排尿障害がある
- 性交時に痛みを感じる
- 性器の炎症(熱っぽい、痛み)
男性の症状
出る場合は包皮や亀頭からアカのようなカスや患部が赤くなりかゆみや痛みを感じる人がいるね。
- 亀頭と包皮にかゆみ、ただれが生じる
- 亀頭に小さな水泡ができる
- 亀頭が赤くなり白いカスが出る
- 尿道炎を起こすこともある
- オーラルセックスやキスで、口に感染する可能性があります。
2)継続的な治療が必要なもの、あるいは治療をせずに放置したり、一部、症状が劇症化した際に死に至る恐れのあるもの
HIV感染症(エイズ)の症状
症状が出ないけど、HIVウイルスが体内から駆逐されたわけでは無く、感染後7から8年ほどで免疫力が衰え、様々な日和見感染症の他に下痢や発熱、全身のだるさなどの慢性症状が現れるんだ。
免疫系が破壊されエイズに特異的な日和見感染症を発症するケースが多く、それらによってHIV陽性と判明することもるんだよ。
感染初期
- 発熱、のどの痛み、だるさ、筋肉痛
- 風邪やインフルエンザに似た症状
潜伏期
- 全く症状のない期間が、約5~10年程度続く
- 人によっては帯状疱疹と呼ばれる体の右左どちらかに小さな水ぶくれが多くできる
発症期
- 下痢やひどい寝汗
- 急激な体重減少
- 免疫機能の著しい低下
- 健康な人では問題にならない感染症や悪性腫瘍にかかる
参照記事:エイズとHIV感染症「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が免疫細胞に感染し、免疫細胞を破壊して免疫不全を起こす疾患で血液や精液などの体液を介して感染する。」
梅毒の症状
潜伏期間は3週間ほど、その後症状の第1期として患部にしこりが形成され、この期間は比較的症状が軽いものの、この後バクテリアは全身に広がり「バラ疹」という特徴的な発疹、微熱、倦怠感などを伴う「第2期」、顔や骨にしこりができ、容貌が変化する「第3期」、知能低下や歩行障害の後死に至る「第4期」の4段階に分かれてるんだ。
梅毒1期(約3週間後)
- 感染した箇所に痛みのないしこりができる
- (赤い軟骨の硬さ程度で小豆から人差し指の先位の大きさのもの)
- 痛みのないリンパ節(太ももの付け根)のはれ
- 女性では気付かない場合がほとんど
- これらの症状は、放置しておくと2~6週間で消えます
梅毒2期(約3ヶ月後)
- 全身にまばらにできる赤い斑点
- 皮膚から盛り上がったブツブツ
- 体の中心から顔や手足に、ピンク色の円形のあざ
- 脱毛症状(後頭部に脱毛が見える)
- これらの症状は、3ヶ月から3年続いて自然に消えます
梅毒3期(約3年以上経過)
- 皮膚や内臓にゴム腫と呼ばれる、大きめのしこりができる
- (周辺の組織を破壊し、治るとあとが残る)
- ※現在ではほとんどみられない
梅毒4期(末期症状)
- 関節炎や手足の感覚の喪失
- 心臓、血管、目、脳などに重い障害が現れ、やがては死に至ります
- 現在ではほとんどみられない
- オーラルセックスやキスで、口に感染する場合があります。
参照記事:梅毒「感染経路は性行為、妊娠中、出生時の母子感染による、ペニシリンにより治癒するが病期を経て進行し第三期以降は治療が難しくなる。」
B型肝炎の症状
さらに経過すると、皮膚や眼球の白い部分が黄色くなる黄疸が見られることもあるね。
ただし、自覚症状が現れにくいので気になる人は血液検査をするしかないんだよ。
- 倦怠感や疲労感
- 微熱や下痢
- 不眠症、食欲不振、吐き気
- 濃い色の尿が出る
- 体や白目の部分がやけに黄色っぽくみえる
- 肝臓周辺に鈍い痛みを感じる
- 症状を起こす人は感染者の約3分の1
- オーラルセックスやキスで、口に感染する場合があります。
C型肝炎の症状
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれる症状がでにくいので、C型肝炎ウイルス感染が気になる場合は血液検査をおすすめするね。
- 食欲がない
- 体がだるく、濃い色の尿が出る
- 体や白目の部分がやけに黄色っぽくみえる
- A型肝炎やB型肝炎に比べて症状は軽い
子宮頸がんの症状
HPV自体には100種類以上が知られているけど、このうちHPV-16とHPV-18が悪質で、発生原因の7割を占めていてハイリスクにHPV分類されてるわ。
将来の発生リスクを抑えるには、このハイリスクHPVの有無を検査する必要があるの。
- 出血してしまった。
- 下腹部に重みを感じる、もしくは痛い。
- 生理不順が頻繁に起きている。
- おりものの色がおかしい、もしくは異臭を感じる。
- 腰痛が始まった。
- 血尿・血便・頻尿が激しい。
性器ヘルペスの症状
単純ヘルペスウイルス感染すると2から10日後にかゆみ、小さな水泡が現れるんだ。
このヘルペスには急性型と再発型の2種類があり、女性は急性型の場合感染後3から7日で幹部粘膜の不快感、熱さなどの局所的症状の他に頭痛や発熱、疲れなどの全身症状が現れる場合があるね。
再発型の症状は急性型とよく似ているけど、程度は軽く、おさまって1から3か月おきに再発を繰り返すという特徴があるんだよ。
- 患部のかゆみ
- 小さな水泡の出現
- 水泡の破裂による痛み
- 歩行困難
「え?これも性感染症なの?」と思った方もいるかもしれませんね。
性感染症というと、セックスパートナーが多い人がかかるといったイメージがあるかもしれませんが、パートナーが性感染症の病原菌のキャリア(保菌者)であれば、相手が一人であっても感染する可能性はあるのです。
検査をパートナーと一緒にする理由
性感染症(性病)にはピンポン感染というのがあります。
カップルが、お互いに性病をうつし合ってしまうことを「ピンポン感染」と言います。
例えば、カップルの片方がクラミジアのかかったとします。
その場合、性行為によってパートナーにもクラミジアをうつす可能性があります。
その後、本人が治療し治っても、パートナーのほうが治療をしていなければ、性行為するたびに再び感染することになります。
こうしたピンポン玉のやりとりのような繰り返し感染することを「ピンポン感染」と呼びます。
ですので特定のパートナーがいらっしゃる方は、パートナーと一緒に検査することが必要です。
複数の性感染症の検査をまとめて受けることができるクリニックも増えているので、健康診断のつもりで受けてみるのもいいでしょう。
クリニックの受診に抵抗がある方は自宅でできる検査キットを利用するという方法もあります。
性感染症の中には治療をせずに放置すると内臓をむしばんでやがて死に至る恐ろしい症状もあります。
ただし、かつては不治の病と思われてきた梅毒は早期治療することで完治させることができますし、HIVウィルスに感染した場合も継続的な治療を行うことで、長期間、健康な人と同じ生活を送ることができるようになっています。
子宮頸がんの原因となるHPVウィルスの感染も定期的な検査で発見することができます。
早期治療を行えば治療後の経過も良い患者さんが多く、妊娠の可能性を残すこともできるのです。
症状があった時のための検査キット
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