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カンジダ
概要:女性なら誰でも起こりやすい症状・カンジダ症
病原菌となるカンジダ菌は膣内や口内など、粘膜部分に存在する常在菌の一種で他の性感染症と違って性行為なしでも自己感染するのが特徴なの。
カンジダ菌は体内に定着している常在菌で健康な時であれば免疫が増殖を抑えていますが、免疫力が低下するような条件、例えば風邪、睡眠不足、不規則な生活、ストレス、または妊娠などで体の状態が変わったことでカンジダを発症する場合があります。
それ以外では風邪などでステロイド系の抗生物質を服用することで免疫抑制作用によってカンジダを発症するケースも存在します。
病原体

カンジダ属の真菌で、不完全菌に属する酵母を代表するもので性器周辺やその他体表に存在する常在菌です。
常在菌とは私たちの皮膚や粘膜に定着している菌で、病原性が低いか無い菌で共存関係にある菌を指します。
この菌は普段から性器周辺にいる菌で健康であれば免疫により過度な増殖が防がれていますが、病気などによる免疫力が低下している場合や睡眠不足、体調不良、ストレス、ピルの長期の服用、月経前や妊娠中のホルモンバランスが崩れやすい時期または風邪などによる抗生物質の服用によりデーデルライン桿菌が死んでしまうことが原因で日和見感染症を起こします。
日和見感染症とは、健康なときなら感染症を起こさないような弱毒微生物・非病原微生物・平素無害菌などによって発症する感染症の呼び名です。
男性器と女性器の構造の差異により体外に露出した男性では通気性が良いので発症するケースが少ないですが包茎の人は発生率が上がります。
女性は女性器の形状から湿気が多く蒸れやすく高温になり増殖しやすい環境にあることから発症例が多く性交未経験者でも発症します。
また最近増えているのがお風呂で石鹸を使って丁寧に陰部を洗ったり、ビデを使用して清潔を保とうと努力し過度な洗浄で逆に増殖してしまうケースです。
殺菌力の強いせっけんを多用したりビデを使用することは、自浄作用が低下し細菌のバランスに異状をきたしカンジダが増殖する場合があります。
感染部位
- カンジダ菌が皮膚に感染しておこる感染症(カンジダ症)
- 口の粘膜(唇と舌)に感染し起こる感染症(歯周病:歯肉炎)
- 腟に感染し起こる感染症(腟感染症と骨盤内炎症性疾患)
発症箇所
感染部位 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
口腔内 | 口の中の白斑。 | 口の中の白斑。 |
陰部 | 症状は無いことがほとんど | チーズ状のおりものと激しい陰部の痒み |
感染経路
そして真菌であるカビの仲間なので、カビが発生するような湿度が高く高温の環境で増殖する、つまり蒸れやすいパンツなどの下着を着けている箇所が多いね。
免疫力の低下で起こるカンジダ症
通常の人なら誰もが体内に定着している菌で、主な部位としては性器や皮膚、口内、それだけでなく胃腸にもカンジダ菌は繁殖する菌なのです。
そのため、発症しているということは免疫力が低下している証しでもあります。
免疫力とは
人間には免疫と言う外部からの病原菌を監視し防ぐ仕組みがあり、免疫機能が通常に働いている状態であれば細菌やウィルスは侵入するとこの免疫により排除されます。
この免疫を担う免疫細胞は、日々体の中にできるガン細胞や外部から侵入する病原菌を撃退し体内への侵入を防いでいます。
しかし、この免疫機能はストレスによる自律神経の不調や生活習慣の乱れ、病気になっている時は働きが弱くなり、免疫力が退化した場合は普段はかからないような病原性の低い細菌による感染症が起こる場合も有ります。
そのような通常であれば免疫により発症しないが、免疫力が低下した時に起こる感染症を日和見菌感染症と言い、その中の一つにカンジダ症なのです。
感染部位別の症状
皮膚への感染(間擦部カンジダ症)
カンジダが皮膚やへそで増殖する事で発症すると皮膚症状として赤い発疹出たり皮膚がやわらかくなり傷ができやすくなります。
また、吹き出ものが皮疹の縁にでき、皮疹は強いかゆみとヒリヒリする痛みがあります。
この菌が肛門の周囲に感染し皮疹ができた場合は、皮膚が白や赤くなりゆみを感じます。
乳児の場合では、カンジダ症の皮疹がおむつが接触する部分にできます。
腟への感染(外陰腟炎、腟感染症、骨盤内炎症性疾患)
カンジダが膣へ感染する事を膣感染症と言い、妊婦、糖尿病患者、抗生物質服用者が感染する事が多いです。
膣へ感染すると白や黄色のチーズ状のおりもの、腟周辺にかゆみや痛みを感じ、患部が赤くなる場合がります。
陰茎への感染
男性は体外に露出しているので、増殖する環境ではないのでカンジダ症になるケースは稀ですが、糖尿病の男性、包茎の男性、パートナーの女性が腟カンジダ症の場合に発症する事が多いです。
男性器へ感染しても症状が出ないことが多く、症状が出る場合は亀頭、陰嚢にできた発疹が赤くなったり痛みが出ます。
口への感染
カンジダ症が口に発生した場合は鵞口瘡(がこうそう)と呼ばれ、クリームのような白斑が舌やほおの内側に発生し痛みを伴います。
子供にこの症状が出ることはしばしばありますが、成人の場合は免疫機能が低下しているサインであり、癌や糖尿病、エイズの可能性があります。
口角炎
口角炎は口角に発症するカンジダ症で、口の周りにひび割れや小さい裂傷ができます。
口角カンジダ症の原因は、口角が常に湿っていて真菌が繁殖しやすいことなので、指をしゃぶる、入れ歯があわないなどが原因で発症する事が多いです。
男性の症状
症状が出る場合は、亀頭や陰嚢に赤い発疹が現れてかゆみやヒリヒリ感を覚えるようになったり、亀頭が赤く炎症を起こして垢のような白いカスが出る場合があるんだ。
- 無症状
- 亀頭や陰嚢に赤い発疹
- 亀頭や陰嚢に白いカス
- 亀頭から包皮にかけての発赤、痒み
パートナーの女性のカンジダ症が男性に感染することもありますが、糖尿病の治療を行っている男性や包茎の男性にも陰茎カンジダ症が自己感染し発症することがあります。
女性の症状
人によっては膣が炎症を起こしてヒリヒリしたり発疹ができ、激しい痒みを伴い眠れないほどの症状が出るケースがあります。
排尿するときに痛みを感じるので、膀胱炎と間違われることもあるようね。
- 白いチーズ状のおりもの
- かゆみや灼熱感
- おりものが臭い
- 恥垢の増加
女性の場合、生理前や妊娠中などホルモンバランスが乱れるときや風邪やストレスなどによって免疫力が落ちたときにカンジダ症を発症しやすくなります。
糖尿病の治療や抗生物質を内服している人にも起こりやすいのですが、これは抗生物質が体内のさまざま菌を殺してしまうことで、カンジダ真菌が増殖する環境を作ってしまうからです。
膣カンジタ症を繰り返す女性は膣の炎症による小さな傷があるのでHIVにも感染する危険が高いと言えます。
女性の膣を守るデーデルライン桿菌
女性の膣には自浄作用があり膣内を酸性にすることで酸性の環境が苦手な雑菌や病原体が増殖することを防いでいます。
どのように膣内が酸性に保たれているかと言うと人間の肌に定着しているデーデルライン桿菌は膣内にも存在していますがこの菌が生命維持のために行う代謝によって乳酸が産生されるからなのです。
なんらかの原因でこのデーデルライン桿菌が減少すると分泌される乳酸は減少し膣内は酸性からアルカリ性に変わり雑菌の増殖へつつながるのです。
膣内にこのような変化が起こると雑菌の増殖にあわせてカンジダ菌の異常増殖も引き起こされます。
デーデルライン桿菌の減少は体調の変化以外にも、ホルモンバランスが乱れ、抗生物質の服用、膣内の洗いすぎや、ビデなどの過剰使用も理由の一つとなります。
不潔にしておくのはいけませんが、あまり洗いすぎるのも良くないということを理解しておきましょう。
検査の方法
女性の場合も同様の採取器具を使って膣分泌液を採取して培養検査をするんだよ。
郵送でできる検査キットでは、カルポータと呼ばれる綿棒のような採取器具を使って簡単に検査することができます。
治療方法
ステロイド軟膏は単体で使うことはできませんが、抗真菌剤と合わせて使用することで患部の痒みや炎症を抑えることができます。
性器カンジダ症や強いかゆみが出ることがありますが、ボディーソープや殺菌力の強い石鹸などを使ってゴシゴシ洗うと炎症が悪化してしまうので注意しましょう。
最近はカンジダ症のかゆみを改善する膣錠やクリームが市販されていますが、治癒の具合を見極めるのが難しいため、医師の診察を受けることをお勧めします。
予防方法
また、自浄作用を低下させないためにお風呂で陰部を洗いすぎないようにしよう。
エイズ発症期の症状としてのカンジダ症
HIVに感染し免疫力が低下すると膣カンジタ症が症状として出る場合があります。
HIVウィルスは感染すると免疫細胞の中に侵入し、増殖に利用するとともに免疫機能を破壊し感染から10年前後の潜伏期間の中増殖しながら免疫力を低下させ、免疫不全になることでエイズを発症します。
HIVに感染し免疫力が低下すると日和見菌感染症といい、毒性が低い通常であれば無害な感染症を次々に発症しますが、その中の一つにカンジダ症があります。
口内、口腔カンジダ症はHIV発症時によくある症状で、エイズ発症時の診断の目安にもなります。
参照記事:エイズとHIV感染症「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が免疫細胞に感染し、免疫細胞を破壊して免疫不全を起こす疾患で血液や精液などの体液を介して感染する。」
症状は、口の中や喉、舌や唇などに白い苔状のものがべっとりと散在して現れ、やがてこれらの病変が拡大し、口の中が広範囲に渡って白い苔で覆われていきます。
そうなると口の内部の粘膜はただれて炎症を起こし、出血しやすくなってしまいます。
口腔カンジダ症はHIVに感染した初期である急性期から見られる場合も有りますが、口腔カンジダ症は必ずHIV感染しているということを意味しません。
HIV検査を受ける1つのきっかけでとして、口腔カンジダ症を発症した時はHIV感染検査を受けることを推奨します。
検査キット
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