医療ライターが取材・体験した
「他人に知られず、性病の有無を調べられる性病検査キット」

「性病検査キットの紹介記事を書いてくれませんか?」

筆者のもとにそんな依頼が届いたのは9月の上旬。―性病検査キット?

初めて聞く言葉だが、インターネットで調べてみると、自分で検体を採取して検査所に送り、性病の有無を調べるものらしい。

依頼主はこのキットの販売を専門に行う会社「宅配ドクター」(東京都中野区)の社長。

初めて連絡を受けた日から10回にわたって会社の概要や事業内容、依頼の趣旨などをメールで尋ね、会って話を聞き、興味をそそられたので引き受けた。

同社はインターネットサイト「宅配ドクター」で申し込みを受け付けて利用者にキットを送り、性病の検査を行っている「登録衛生検査所」(群馬県高崎市)に検査を依頼、利用者に結果を通知している。

宅配ドクターの社長と検査所の検査責任者を取材し、実際に検査キットを使ってみた。

インタビュー

「クラミジア、淋菌など7種とHIVなど性感染症の検査が対象」

宅配ドクターは2008年に創業。クラミジア、淋菌、梅毒、カンジダ、トリコモナス、のどのクラミジア、のどの淋菌、HIV、HPV、子宮頸がん、B型肝炎、C型肝炎などを調べるキットを販売している。

キットの種類には、エイズのみや発症リスクの高いものに絞ったものもある。

これらに加え、女性用として子宮頸がんとヒトパピローマウイルス(HPV)を調べるキットもある。

HPVとは、子宮頸部に感染することで子宮頸がんを引き起こす可能性のあるウイルス。

料金は検査項目の数により異なるが、税込みで4,200円(エイズのみ)~14,700円(前述の8種)。

筆者が依頼のメールを受けたときに疑問に思ったのは、医療機関を受診することに比べて検査精度が劣るといったデメリットはないのかということで、広く言えば、しっかりと検査が行われていて、安心して利用できるサービスなのかということだった。

「クリニックなどは検査所に外注して性病を調べている」

性病の有無を調べたいときは、医療機関や保健所に行って医師などに相談し、問診・検査をしてもらうか、宅配ドクターが扱うような検査キットを利用する方法がある。

総合病院などは院内に検査室を設けており、規模の小さいクリニックなどは登録検査所に検査を外注している。

検査責任者によると、こちらの登録検査所は宅配ドクターのほか、泌尿器科を標ぼうするクリニックからも依頼を受けているという。

「他の検査所に先駆けて性病の郵送検査を開始」

現在、全国で10ほどある性病専門の検査所に先駆けて事業を始めた。

以来、性病検査キットの認知度の高まりを受けて、依頼の数は創業当時の倍にまで増えた。

登録検査所は、検体を医療機関などから集めて検査する施設「衛生検査所」として高崎市から認可を受けており、3人の臨床検査技師が在籍して検査を行っている。

特徴は、トリコモナスのDNA検査を行っていることと、年中無休で検査を行っていることだ。

「死滅しやすいトリコモナスのDNA検査を開発し、郵送検査が可能に」

トリコモナスとは、単細胞生物「トリコモナス」が膣や膀胱、尿道などに寄生することで起こる病気。

女性では性器の悪臭やかゆみ、痛みなどがあり、男性では症状のないことが多いが、まれに排尿時に痛みなどを感じることがある。

責任者によると、トリコモナスは37度の温度下で活発に活動し、それ以外の環境では死んでしまう。

検査室を設ける病院では検体を採取してから間を置かずに検査を行い、生きているトリコモナスを培養して増やすため顕微鏡で確認できるが、郵送検査では検体を送っている間にトリコモナスが全て死んでしまう可能性が高い。

しかし、2008年に宅配ドクターと提携している登録検査所は群馬大学医学部との共同研究で、トリコモナスが全滅しても病気の有無を判定できるDNA検査を開発した。

DNAの塩基配列を調べることで、検体にトリコモナスが存在していたかどうかがわかるようになった。

現在、トリコモナスのDNA検査を郵送検査を行っているのはこの登録検査所だけという。

体験レポート

では、実際に検査キットを使ってみて、結果確認までの流れを追ってみよう。

1、キットが自宅に届く

商品名は非表示 発送元を個人名にすることも可能


(届いた時の荷姿)

キットは、宅配ドクターのサイトまたは電話(0120・961・107)で注文することができる。

筆者は宅配ドクターを取材した当日に頼み、翌日にヤマト運輸の宅急便で東京都内の自宅に届いた。

社長によると、性病検査キットの利用者は、性病の有無を確かめていることを他者に知られたくない人が多い。

郵送された小包みには「性病検査キット」などと表示されず、商品の内容がわからないようになっている。

また、筆者の場合は小包みの発送元に「宅配ドクター」と記載されていたが、注文時に希望すれば、発送元を男性名の個人名または女性名の個人名にすることができる。

性病検査キットを販売する「宅配ドクター」の名を家族に知られることを防ぐ狙いだ。

また、自宅に届くのが望ましくない場合は、配送センター止めにすることも可能で、「セブンイレブン」や「ファミリーマート」など、ヤマト運輸と提携しているコンビニエンスストアであれば、配送センターに連絡して再配達先にコンビニエンスストアを指定し、そこで受け取ることもできる。

2、商品の確認

説明書やキットが入ったビニールの小袋などが入っている


(検査キットの外装)

小包みの中には、医師を模したキャラクターが描かれた四角い箱(横20㎝、縦13㎝、高さ4㎝)が入っていて、中には下記の物が入っている。

検査セット取扱説明書には結果確認までの全体の流れが記載されていて、ビニールの小袋の中にそれぞれの検体を採取する方法が記された説明書が入っている。

[検査キットの中に入っているもの]


(内容物一覧の写真)

〇明細書
〇検査セット取扱説明書
〇返信用検査申込書
〇検査キットが入ったビニールの小袋
〇返信用封筒(検体返送用)

3、検査申し込み書への記入


(検査申込書)

検査申込書は2枚複写になっている。

検査の結果は、郵送される結果報告書、インターネット、電話で確認できるが、インターネットと電話で確認する際は、検査申込書に記載された申し込み番号と、申込書に自ら記載したパスワードの情報が必要になるため、複写分は保存しておく必要がある。

申込書に検体採取日、好きな数字4~6桁のパスワード、名前、生年月日、結果の郵送先住所、緊急時連絡先を記載する。

電話やインターネットで結果を確認したい人は名前と住所の記載は不要。

4、検体の採取

では、検体を採取してみよう。筆者が利用したキットは、先述した8種全ての有無を調べるものだ。

〇尿を採取(クラミジア、淋菌、トリコモナスを調べるための検体)


(尿検査キットの写真)

「スポイトの中の空気を出してから尿を吸い上げるとスムーズ」

まずは、性器のクラミジアと淋菌、トリコモナスを調べるために尿を採取しよう。

朝起きた後に行うのが望ましいが、排尿してから2~3時間経った後でも問題はないそうだ。

全ての検体採取時に共通するが、まずは検査セット取扱説明書に留められている申し込み番号シールを、検体を入れる容器に貼る。

次に、キットの中に入っている白いビニールを組み立ててコップ状にして、尿をその中に入れる。最後に、検体を入れる容器をスポイトのようにして、コップの中の尿を吸い上げる。

このときは一旦、容器を指で押して中の空気を出してから吸い上げると、スムーズに尿が入っていく。

入れる尿の量の目安は容器に記されている点線の部分まで。後は容器を返送用の小袋に入れるだけだ。

〇うがい液を採取(のどのクラミジア、のどの淋菌を調べるための検体)


(うがい液検査キットの写真)

「朝起きた後、食事の前に勢いよくうがいをする」

次は、水でうがいをして検体を採取しよう。

のどにクラミジアと淋菌がいないかを調べるためだ。

のどに存在する細菌や微生物は食べたり飲んだりすることで食道へ流れ、一時的に数が減る可能性があるため、採取するタイミングは朝起きた後が最も望ましい。

朝に採取できなくても、飲食後、3時間ほど経っていれば問題はないそうだ。

検尿時と同じように白いビニールを組み立ててコップ状にし、底から1㎝ほどまで水を入れて口に含み、10秒ほどうがいをする。

クラミジアや淋菌がいた場合、排出されやすいように勢いよくうがいをすることがポイントだ。

うがい液をコップに吐き出した後は、検尿時と同様に、検体を入れる容器をスポイトのようにして吸い込ませる。

入れる量の目安は容器の点線の部分まで。後は返送用の小袋に入れる。

〇血液を採取(HIV、梅毒を調べるための検体)


(血液採取キットの写真)

「不安だったが、予想よりも痛みは少なく、チクッとした程度」

検査キットを体験するに当たって、最も不安だったのが血液の採取だった。

医療機関で注射をされて血液を抜かれたことはあるが、自分で採取するのは初めてだったからだ。血液採取はHIVと梅毒に感染していないかを調べるために必要で、「ランセット」と呼ばれる専用の器具を使う。

これを指に押し当てると、一瞬、針が出て、すぐに器具の中に戻る仕組みになっている。

採血する部位は手の指先で、人差し指、中指、薬指であればどれでも構わない。

指先の端の方が痛みを感じにくいため推奨しているという。筆者は左手の人差し指に決めた。

採血をする前に、血が出やすいように指をお湯に浸したり、暖房器具にかざしたりして温め、よくマッサージをする。

キットの中に入っている消毒用の綿で採血する部位を拭いて乾いたら、採血する方の手をテーブルの上などに置いて固定し、ランセットを採決部位に軽く当てる。緊張の一瞬。

ランセットを押し当てると「カチリ」と音がし、チクッとした痛みが走った。しかし、予想よりも痛みは少なかった。


(指とろ紙の点線1つ目に血を染み込ませた写真)


(3つの点線に血を染み込ませた写真)

ランセットを使った後は、ろ紙の丸い点線部分に血を落とす。

筆者は血が出づらかったため、指の腹を押して1滴落とすのがやっとだった。

しかし、点線3つ分に血を染み込ませないといけないので、2つ目のランセットを使って左手の中指にも針を刺した。

ランセットは予備用を含めて計4つ入っている。

検査責任者によると、ランセットの使い回しを危惧する問い合わせもあるとのことだが、ランセットは再使用できないようになっており、また、予備のランセットも利用者から返送された後に捨てているという。

ろ紙に血を染み込ませた後は、採血部位を数秒押さえて止血する。

ばんそうこうもキットの中に入っている。

ランセットを使った直後は採血部位がじんじんとする感覚があったが、少し時間が経ったら消えた。

ろ紙は2、3時間自然乾燥させる。生乾きのまま返送用の袋に入れてしまうと郵送する間に血液にカビが生え、検査に支障が出るおそれがあるそうだ。

〇陰茎を綿棒でこする(カンジダを調べるための検体)

「皮膚が重なっている部分や冠状溝を丁寧にぬぐうことが大切」


(陰茎表皮擦過採取キットの写真)

最後に、カンジダ菌がいないか調べるために陰茎をこすって検体を採取した。

「性行為や入浴の直後は避けるように」(責任者)とのことだ。

手を洗った後、キットの中に入っている綿棒を取り出して陰茎全体をぬぐう。

特に皮膚の重なっている部分や亀頭と陰茎の間の冠状溝を丁寧にぬぐうことが大切だ。

綿棒を扱うときは必ずキャップの方を持ち、綿棒自体には触れないようにしなければならない。

5、郵便ポストへの投函

「検体の採取にかかる時間は45分くらい」

検体の採取は全て終わった。

一つ気になったのは、うがいを「勢いよく」することや陰茎を「丁寧に」ぬぐうことは利用者個人の感覚によって異なるため、感覚の違いでどれだけ結果に影響するのかということだ。

責任者に聞いたら、血液検査以外は、細菌や微生物が少なくても試験管の中で人工的に増やしたり、栄養を与えて繁殖させたりするため、多くの場合、結果が変わることはないという。

採取完了
(全ての返送袋にキットが入っている写真)

後は、検査セット取扱説明書のチェックリストを見ながら、返信用封筒に各キットの返送袋、検査申込書の1枚目、使用済みランセットと消毒綿などを入れた廃棄物返送袋、血液採取のための予備キットを入れて、郵便ポストに投函する。

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(投函時の写真)

投函も終わった。

筆者は体験の様子をICレコーダーに吹き込みながら進めたので、採取開始から返信用封筒に入れるまでちょうど1時間かかったが、一般の利用者であれば45分ほどで終わるのではないだろうか。

6、結果の確認

「電話・ネットだと、最短で到着の翌日に結果がわかる」

10月17日に検体を採取・投函して、ちょうど1週間後の24日に結果報告書が届いた。

検査日は投函して2日後の19日と記載してある。

早く結果を確認したい人は、電話かインターネットを利用すると良いだろう。

検査項目によって異なるが、血液検査の場合は最短で、キットが検査所に届いた日の翌日には結果がわかるという。

自覚症状はもちろんのこと、心当たりも全くなかったが、「万が一」もあり得る。

結果を確認するときは緊張がわずかに走ったが、異常はなかった。

検査結果
(検査結果報告書の写真)

写真にある検査結果の(-)は病気を引き起こす原因がないことを示す「陰性」の意味で、横の基準値の意味も同様。

「異常があった場合、協力する医療機関を受診すれば再検査しなくて済む」

だが、もし検査結果に異常があった場合は医療機関で再び検査をしないのといけないのだろうか。

責任者によると、全国約400の医療機関と提携しており、それらの医療機関を受診すれば、検査を省いて問診と治療を行ってくれるそうだ。

陽性反応が出た人には、その人が住む自治体にある協力医療機関のリストも同封される。

取材と体験を終えて

性病検査キットについて、依頼の連絡があった当初は信頼の置けるサービスなのかがわからなかったが、取材と体験を進めるにつれて疑問は消えていった。

症状のある人は医療機関を受診して早めに治療を受けた方が良いだろう。

その一方で、症状がないものの性病に感染しているかどうかを不安に思っていて、かつ周囲に知られないように調べたい人にとっては、性病検査キットは選択肢の一つになるのではないだろうか。

花岡社長は「以前に比べて性病検査キットは知られるようになってきたが、認知度はまだまだ低い。

自分で手軽に性病の有無を調べられる方法があることをより多くの人に知ってもらいたい」と話していた。

筆者:医療ライター M.K

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